うわの空日記

できれば毎朝起きたくない

オフィスビルの怪物

GWに高松に旅行に行き、そこで買ったチャイを淹れて飲む。熱い飲み物はそろそろ厳しいかもしれない。夏が近いから。

 

せっかくなのでなにかいいこと書きたいと、アプリを立ち上げては少し書いてやめ、また立ち上げては書いてやめ、を繰り返してる。これが続くとまたやらなくなっちゃうんだよな、と思うので、なにかしら書いておこうと思います。

 

今日は退勤後にパスポートを取りに行った。出張で必要なのです。受取と申請を別の場所でお願いしているので、今日は改めてパスポートセンターの場所を地図で調べて出かけた。

 

大きなオフィスビルの二階に、そのパスポートセンターは入っていた。ビルの一階は大きな吹き抜けになっていて、その底にはものすごく大きな水盤がある。向こう側に知り合いが立っていてもうまく認識できないくらい大きな。

底の中心に向かって緩やかなすり鉢状の傾斜がついていて、中心からは控えめな噴水のように間欠的に水が吹き出しては水面を揺らす。普通の噴水は周囲が一段高くなって水面が囲ってあり、エッジがはっきりしているから、波打つ水面とわたしが立っているこちら側は明確に違う場所なんだけれども、ここはそうではなく、床の傾斜はふと終わって何事もなくわたしたちが歩く平面に続いていた。だから、水際は足元でゆらゆらと勝手に行ったり来たりしている。

水盤の周りはいくつもベンチが置いてあって、仕事を終えた人たちがたくさん座っていた。水を見ている人もいれば、そうではない人もいた。なにげない仕事終わりの一コマなのだろうけど、異様なものと馴染んだ人たちの姿はやっぱりすこし不思議に見えた。

 

ビルに入る前、エントランスに辿り着くまでガラス張りの外周に沿って歩きながら、見るともなしに中の様子を見ていたのだけれど、もう暗くなり始める時間とはいえまだ外は明るく、建物内の様子はうかがい知れず、水盤の存在にも気づかなかった。ただ、ガラスには歩く自分の姿がうつっていた。ガラスの中のわたしの足元には、いま歩いているブロック貼りの地面が映っているはずだった。その足元に目をやると、幾何学的に整然と並んでいるはずのブロックが、うにょうにょと重たい海藻みたいに蠢いていた。

 

そんなバカなと思って、しばらく足元から目を離せずにいた。そのうちエントランスに着いて中に入り、その怪物の正体がガラス越しに見た水盤の揺れる水面だということを知る。すこし背筋が冷たくなった感覚はすぐに引いたけど、今度は別の感動に捉われて、パスポートを受け取るのも上の空だった。

 

ひょっとしたら有名な場所なのかもしれないし、どんな場所でも人は慣れてしまうんだろう。でも、あんな静かな怪物のはるか上空ではたらく人のことを思うと、やっぱり羨ましいなあ、と思いながら帰ってきた。